ただ、風のために。6 (2004/April)

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2004/04/11 (Sun)

レシピ本

修正のチェックに時間がかかってしまい、 土日がほとんどつぶれてしまいました。むーん。

「誘拐」という物体X

そうこうしているうちに誘拐事件が起き、しかし解放される ことになり、とはいえまだ解放されなかったりしている、というニュースが。

……SFマガジン2004年5月号の東×西島対談風に言うなら、 「誘拐なんてくだらないぜ、『凹村戦争』を読め!」、という気分。

結局のところ、この誘拐も 『凹村戦争』のなかで何度も出てくる空飛ぶ物体Xと 同じ程度の距離にある存在でしかありません。 それ以上の過剰な評価をするのは、そしてそれによって 自分たちの判断に動揺を持ち込もうとするのは、 何か取り違えているような気がしてなりません。

もちろん語らなければいけないことはあるのだけれど、 それはもっと違う形で、違う判断の元で 語るべきことではないんじゃないでしょうか。

……誘拐された方と、解決に向けて尽力されている方々、 そしてイラクにいる自衛隊の方々の無事を祈っています。

ライトノベルつづき

まいじゃー推進委員会!さんと 仮藻録さんよりリンク。

通信費というか、財力の違いは大きい、という話はありました。 あと、 「SFファンの平均年齢」の話もやっぱりでてました。 やっぱりそう思いますよねえ。

「ティーンズ文庫編集者匿名座談会」は知りませんでした。 これは読まねば。 とはいえ、このころ(「ブギーポップ」直後?)とは またちょっと状況が違うのかも。


2004/04/15 (Thu)

鷺沢萠

鷺沢萠が……。

全然読んでないんだけどこれはちょっとびっくりした……。

整合性

「自己責任」を持ち出す方々が、 被害者家族を非難し謝罪を求めることは論理的におかしいように思います。

もし「自己」に「責任」があるであれば、 「自己」ではない家族の方には何の「責任」もないのでは。

などと書いてしまう私は、もちろん「自己責任」という 言葉があまり好きではありません。

「ジョン・レノン対火星人」対「さようなら、ギャングたち」

にじむさんとは先日お会いした際に高橋源一郎の ことをちょっと話しましたが、 なんだかんだ言って、私にとって高橋源一郎は重要な作家のひとりです。 最近の作品は読んでないのもありますが。

はじめて読んだのは高校生のころ。「虹の彼方に」を読んで、 ただひたすら楽しかったのをおぼえています。 それからほどなく「さようなら、ギャングたち」も 「ジョン・レノン対火星人」も読んだのですが、 当時の私には 「虹の彼方に」ほどにはしっくりこなかったように思います。 今にして思えば、何かしらの「かなしみ」というか「重み」 というか、そういった内実を持っていた作品よりも、 もっとストレートに、ナンセンスな面白さを目指していた(ように見えた) 「虹の彼方に」の率直さが気に入っていたのかも知れません。

という自分の好みはともかく、人に勧めるのであれば、 絶版になっている本は勧めようがありません。ので、 初期作品としては 「さようなら、ギャングたち」と 「ジョン・レノン対火星人」のどっちになるわけですが、 両方持っている・または買う気があるのであれば 「さようなら、ギャングたち」の方が先かなあ、と。 こっちを先に読んだために「ジョン・レノン対火星人」が つまらなくなる、ということはなさそうですし。

そうそう、 ノンジャンル読書会には私も参加希望です。 先月読んだ本はメフィスト系数冊(舞城西尾ユヤタソ)と 富士ミス数冊と 星野智幸「ロンリー・ハーツ・キラー」と 稲葉振一郎「経済学という教養」と 立岩真也「自由の平等」と 「CプログラミングFAQ」と 久野靖「言語プロセッサ」、 今読んでいるのは小川洋子「沈黙博物館」と「寡黙な死骸、みだらな弔い」 というところです。意気込みはまた改めて書きます(早く書きましょう>自分)が、 とりあえず平田俊子をプッシュしてみたいです。 文芸のなかでいちばんマイナーな分野は 現代詩じゃないかと思うので。

(そういえば以前よしきさんが、 「詩の読みかたに関しては、かなり高橋源一郎に影響されている自覚がある」と 書いていましたが、 私の場合もまさにそのくちで、 そもそも詩を読み出したのも高橋源一郎のせいに思います。)

鷲田旌刀『魔法半将軍 十四歳の魔王』

とか言いつつコバルトも読んでいたり。いやあ、鷲田旌刀が復活ですよ。 しかも骨太な時代物。

舞台は室町時代。比較的(たぶん)マイナーなキャラ、 細川政元と司箭院興仙。この二人が京の町を恐怖に陥れようとする 謎の人物と対決する。そこには悲しい物語が……、みたいなお話。

ちょっと盛り込みすぎのようにも思いますが、お話は堪能させて いただきました。ほとんど悪役の細川政元がいいですな。

「細川政元」でぐぐると 資料収集のアドバイスをされた方のページがまっさきに見つかるのは なんかいい感じです(というか筆頭参考文献そのものがWebで読めるようです。)。


2004/04/18 (Sun)

篠原美也子ライブ「種と果実をつなぐもの」
たかが20歳 されど20歳
あたしは世界でたったひとりのあたしでありたい

誰のようでもなく 誰のためでもなく
誰にも似ていない I'm nobody
 (篠原美也子『誰のようでもなく』)

言いたいことなど本当は無くて
でもそういうのってあった方が素敵に思えて
誰の様でもなくなんて叫んだ
どこにでもいる自分だって知ってたから
 (篠原美也子『葉桜』)

美也子さんのライブに行ってきました。 よい天気。 今回のライブは仙台と東京の二箇所だけですが、 それでも「ライブツアー」なんだそうで。 渋谷のON-Air EastはO-Eastになって、建物もすっかり変わったんですね。 迷いながらも無事開演前に到着。席はほとんど埋まっていたようです。

17:30スタートで、終わったのは20:30くらいなんで、ほぼ3時間。 最初のころから「短い時間、ではなく長い時間になるけどさ」と 笑いをとっていた通り、いつもながらの長丁場でした。

曲目は、3月に出たニューアルバム『種と果実』と、 4月21日発売開始の『Everything is passing』の曲を 中心に、全部で18曲+アンコール2曲。 曲だけでなく、MCも長かったのですが、 途中、トイレなどの休憩がわりに長いMCを入れて、 席を立ったひとがみんな客席に戻ってきたころにやおら次の曲を始める、 というスタイルはいい感じでした。

あの夏に あの秋に
立ちつくしてた冬の日に
選ばなかった扉の向こうにも
確かに 確かに 人生はあった
 (同『葉桜』)

アンコール前の最後は『葉桜』でした。 この曲を歌う前、 オールナイトニッポンのパーソナリティをやっていたころに 鷺沢萠さんをゲストに呼んだりしたほど彼女の本に親しんでいたこと、 特に気に入ったタイトルに『葉桜の日』があり、 いつかこのタイトルを自分の曲にも使いたいと 思っていたことなどを話していました。 私も、この曲はアルバム『種と果実』の中でも特に好きな曲で、 選ばなかったり選べなかったりしたいろいろなことを 思い出してしまうのですが、 さらにこんなエピソードまで持ち出すのはちょっと反則でわ…… と思いつつ、ぼろ泣きしながら聴いていました。

葉陰に残った花びらひとつ
もう誰も桜と呼ぶ人はなくて
いずれすべては散りゆくさだめなら
振り返らないで そこにはもう誰もいないから

過ぎ去りし花を思うのはいつだって春なんだ
 (同『葉桜』)

帰り際、今日歌った曲目のセットリストと 美也子さんからのメッセージを配ってました。 メッセージは↓下記の通り。

	「忘れられなかった」者の勝ちだ。
	  鷺沢萠 "Two of Us"より
	
  時が過ぎてはじめて、 「忘れられなかった」ことに気付くから、   どうしても、生きて、 その思いを抱きしめてあげなければ。 Thank you 東京 2004.4.18 Miyako Shinohara

よいライブでした。ありがとうございました。

しかし、ミステリ方面には「どんどん橋の解説書いてるひとです」で 通じてしまうのかと思うとちょっと複雑な気持ちになります。はい。


2004/04/19 (Mon)

SFセミナー

なんとか申し込めました。たぶん。 というわけでよろしくお願いします。

おめでた

おめでとうございます。って、まつもとさんRubyConfにはいらっしゃらないのですね……。

こちらもおめでとうございます。 お元気そうなのはなによりです (なんかお元気スギな気がしないでもなく)。

創世記

久美沙織さんによる「創世記」。次回は いよいよ素子さんの登場になるんでしょうか。 たのしみです。

氷室さんの「さようならアルルカン」をはじめて読んだのは 確か就職した後で、あまりの硬さに愕然としたのをおぼえています。 なんつうか、これが「クララ白書」とか「なぎさボーイ」とかを 書いてた人なわけ?! と。 これを同時代の女の子がどう評価していたのかは 気になっていたところだったのですが……やっぱり、 同時代的な文学少女な小説として受け入れられていた、 ということでしょうか。

黙示録

創世記といえば、というわけでもないのですが、 Apocalypse 12。次世代Perl、Perl6についてLarry Wallが 書いているシリーズですが、今回は主にOO関連ですね。

言語製作

やっぱりまずはRubyでプロトタイプを作るところからはじめるべきかと思い直し、 ささださんのRava原稿を読んでみたり。んー、実装の参考には Ravaのソースを直接読んだ方が早そうですね。

構文解析はもちろんRaccで、こちらは(これまたもちろん) 無道編を参考に。 また、Parrotのコンパイラについては Dan Sugalskiが書いてますね。 これは再帰下降型です。





written by TAKAHASHI 'Maki' Masayoshi (maki@rubycolor.org)
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